Google Apps Marketplaceを使ったビジネス化

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Googleが新サービス、Google Apps Marketplaceを開始しました。元々提供しているGoogle Apps向けのマーケットプレイスサービスになります。最近度々登場するマーケットプレイスサービスと変わらず、サードパーティーがシステムを開発し、Google Appsをプラットフォームとして活用する類のものになります。とは言えこれまでのマーケットプレイスと大きく異なる部分が複数存在します。そしてその違いはGoogle Apps Marketplaceを非常に魅力的なものにしています。今回はそんなGoogle Apps Marketplaceのデベロッパー側から見た魅力についてまとめてみたいと思います。

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Google Apps Marketplace
 http://www.google.com/enterprise/marketplace/home

Google Apps Marketplaceとは

Google Apps MarketplaceはサードパーティーがGoogle Appsユーザ向けにWebアプリケーションを提供するマーケットプレイスです。以前からGoogleではGoogle Apps Solutions Marketplaceというサービスを提供してきましたが、今回のリリースによってGoogle Apps Marketplaceに統一されました。Solutions Marketplaceとの違いとしては以下が挙げられます。

・Google App Engineを使わなくともいい

Solutions MarketplaceはGoogle App Engineを使って作ったWebアプリケーションをGoogle Appsユーザ向けに販売する仕組みでした。つまりGoogle App Engine(PythonまたはJava)を使って開発する必要があり、かつデータストアの使い方を習得しなければならず、開発者にとって敷居が高くなっていました。それがGoogle Apps Marketplaceになって撤廃され、Google App Engineを使わなくともよくなりました。

・データの連携はOpenIDやOAuth

Solutions Marketplaceの場合はデータがGoogle内部に留まり、かつ各Google Appsユーザ用に各Webアプリケーションがインストールされる形式だったため、GmailやGoogleカレンダーと言ったデータを利用するのは容易でしたが、外部のサードパーティでもデータを利用するに当たってGoogle Apps MarketplaceではOpenIDやOAuthを使ってデータを取り出せる仕組みになっています。こうした公開されたプロトコルであれば既に多数のライブラリが存在しているため、開発者は選択肢が多く開発コストが低減できるのが魅力です。

・月額定額サービスが可能

Solutions Marketplaceの場合、各ソフトウェアの単発売りが基本でしたが、Google Apps Marketplaceの場合はSaaS型の提供が基本になります(インストール型も可能)。そのため課金形態も単発売りから月額、ユーザ単位、年額といった形式での販売が行えるようになっています。Webアプリケーション提供企業にとってこれは大きな魅力になるはずです。

つまりSolutions Marketplaceがソフトウェアやパッケージの単発売りだったのに対して、Google Apps MarketplaceはSaaS型サービスのマーケットプレイスと言えます。Webアプリケーション提供企業にお勧めなのはこの点です。

B2B型である

これまでのマーケットプレイスではC2C(ヤフオク、eBayなど)、B2C(iPhoneのApp Storeなど)など完全な形でB2Bで提供されるものは多くありませんでした。App Storeの場合、iPhoneアプリのみでビジネス化し、継続的な収益を獲得するというのは相当困難です。アプリ単価が安く、売り切り型が一般的であるため、月額などでの課金は難しいのが実情であるためです。一般ユーザを相手にする限り、課金に対する問題は常に発生していました。Google Apps Marketplaceの場合、Google Apps利用者は企業であるため、*2Bでサービスが提供できます。提供側も通常は企業であるため殆どはB2B形式になるはずです。企業であればコストメリットさえ適切であれば、利用に対する課金は容易になります。

Webアプリケーションへの心理的敷居が低い

当たり前ではありますがGoogle AppsはWebアプリケーション群として提供されます。メール(Gmail)、カレンダー(Googleカレンダー)、ドキュメント(Googleドキュメント)、CMS(Googleサイト)、チャット(Googleトーク)の組み合わせで提供されます。こうしたツールを既に使いこなしている人たちがGoogle Appsユーザであり、Webアプリケーションをビジネス活用することへの心理的敷居がとても低いのです。一般的にWebアプリケーションをビジネス活用する中で、セキュリティや使い勝手の相違によって導入を諦めるケースは多々あります。そこで発生するクライアントの教育コストや営業コストが殆ど発生しないのは大きな利点ではないでしょうか。

世界的に提供できる

Google Appsは日本語はもちろんですが、英語圏がメインに提供されています。利用企業もやはり英語圏が多くなっています。そのためGoogle Apps Marketplaceでサービスを提供するのであれば、英語に対応するのが必須です。逆に言えば英語ベースで提供していれば、世界中のGoogle Appsユーザが利用者ターゲットとして考えられると言うことです。インターネットが地理的問題を越えるとは言え、言語の壁や地理の壁は大きいのが実情です。Google Apps Marketplaceを営業ツールとして捉えれば、サービスを世界中に提供する場として考えられるようになります。

ライバルが味方になる

Google Apps Marketplace最大の魅力がこれです。これまで、例えばカレンダーのWebアプリケーションを開発する場合、比較対象はGoogleカレンダーになっていました。Googleカレンダーでは物足りない(例えば施設管理機能など)を備えたカレンダーサービスを作りたいと考えても、それ以外の機能がGoogleカレンダーに劣ってしまった場合、ユーザを引きつけることが出来ませんでした。ユーザ自身、Googleカレンダーでは物足りないと考えつつも、既に蓄積しているデータがあればおいそれと乗り換えることもままなりません。

Google Apps Marketplaceによって、その問題がスマートに解決されます。ベンダーは足りない機能だけを作り、その他の機能はGoogleカレンダーのものをそのまま利用できるようになります。ユーザも同様です。これまで同種のサービスを開発した場合に競合になってしまっていたGoogleの各種サービスが、味方として活用できるようになります。

既存のWebアプリケーションをそのまま活用できる

Google Solutions Marketplaceと異なり、Google App Engineという縛りがないため、既にSaaS型サービスを提供している場合、多少の開発でそのまま仕組みを活用することが可能です。実際、現在Google Apps Marketplace上で提供されているサービスは別途オリジナルのSaaSを提供しているBox.netやZoho Projectといったものが多くなっています。むしろGoogle Apps Marketplace上のみで動作するものは無用な束縛になってしまう可能性があります。例えばコンシューマやその他企業に対しては独自のSaaSを提供しつつ、Google Appsユーザには認証統合という形でのサービス提供を行うと言った具合に分けて捉えることが可能です。

アクセス権限はRead/Write

OpenIDによる認証のようにReadのみの権限が与えられているものもありますが、それ以外はOAuthによってRead/Writeの権限が与えられています。これは個々のGoogle Appsサービスごとに設定が可能になっていますので、提供するWebアプリケーション毎に設定を行うようになります。そのため出力結果をGoogleドキュメントに出したり、アドレス帳をカスタマイズしたりすることが可能です。Readのみだとマッシュアップレベルですが、Write権限が加わったことでより魅力的になります。

柔軟な課金体系

課金形態についてはまだ調査中ですが、無料期間(30日間無料など)やユーザ毎、月額、年額課金など細かく設定ができるようです。なお手数料は20%で、残り80%が自社の利益になります。モバイルアプリのマーケットプレイスに比べても良心的な価格帯ではないでしょうか。

インストール型もできる

従来のGoogle App Engineを使ったインストール型のサービスも提供可能です。なお、その場合はGoogle AppsユーザにDNSの設定を変更して貰う必要があります。そのため若干の手間がかかってしまうの欠点です。利点としてはデータが各企業のGoogle Apps内に留まるため、よりセキュアにデータが管理できるようになります。なおこの場合も月額課金が可能であるかは調査が必要です。

管理者の手間

提供形式がSaaSであるため、管理者の手間は殆どありません。ドメインを入力してインストールを行い、OAuthに関する許諾を行えば利用できるようになります。各ユーザについてもトップページにインストールしたWebアプリケーションが並びますし、画面上部のメニューバーからWebアプリケーションが選択できるようになります。サーバインストール型の場合は個別にモジュールをインストールするだけでも相当な手間が発生していたこと、管理者=技術者でないと運用が難しかったのが難点でした。Google Apps Marketplaceの場合はユーザ側の代表者であれば、操作は十分可能です(セキュリティに関する知識は必要ですが)。

では実際の所、どういったサービスがGoogle Apps Marketplaceに向いているか考えたいと思います。

ビジネス用途である

これは当たり前なことですが、重要です。Webサービスというとコンシューマ向けのサービスが多いのですが、Google Apps Marketplaceではビジネス用途で考える必要があります。例えばTwitterのようなサービスでは意味がなく、Yammerでは意味を持ちます。Digg.comのようなサービスは展開が難しいですが、企業内のナレッジ蓄積的な側面を持てば意味があるかも知れません。

ビジネス用途として考えた場合でも、営業ツールとして使うのかバックオフィス(基幹系)として捉えるのかによって見方が変わってきます。Google Appsで元々提供されているものはどちらかというとバックオフィス系が多いので、営業ツールを提供した方が補完的に使われるかも知れません。

本家で提供されていないものを考える

本家で提供されているものは前述の通り、メール/カレンダー/ドキュメント/CMS/チャットになります。将来的にBuzzも入り込む可能性があります。これらを置き換えるようなサービスは提供する意味がありません。Yahoo!メールのようなサービスは受け入れられることはないでしょうし、ZohoもZoho Writerや表計算系サービスを提供していますがGoogle Apps Marketplace向けには提供していません。Google Appsで提供されていないもの、または補完できるものを考える必要があります。とは言え、本家で提供されているものはごく基本的なものだけになりますので、選択する余地は十分にあるかと思います。

ちょっとしたツールを作る

本家の補完的ツールを考えた場合、サードパーティーではごくごく小さな機能を提供するだけで良くなります。例えばミーティングの時間を設定するWebアプリケーションBridgeTimeの場合は時間設定機能のみが提供されます。カレンダー機能は全てGoogleカレンダー任せになります。また、画像編集アプリであるAviaryについてはGoogleドキュメントに貼り付ける画像を編集するのみです。このように、ごくごく一部の機能に特化させることで、開発コストを低く、使い勝手の良いサービスが開発できるようになります。ちょっとしたツールでは課金がしづらいですが、その中でもプレミアムバージョンを付けたり、無料期間を設けることでまずは利用して貰うという流れを作ることはできるはずです。

また、ちょっとしたツールに限らず総花的なサービスは好まれない傾向にあります。個々の機能についてしっかりと作り込み、Webアプリケーション単位で提供するようなやり方が良いのではないでしょうか。

グループウェアから機能を取り出す

一般的にグループウェアというのは総花的に機能を提供しています。メッセージ、掲示板、カレンダー、施設管理、アドレス帳、伝言板、プロジェクト管理、ファイル管理…などなどです。とは言え使われているものはスケジュール程度で、後の利用率はとても低いのが一般的です。そう考えた場合、Google Apps Marketplaceでは本当に必要な人だけが使えるため(ユーザ全体で契約する必要はないはずです)、技術関係者だけがプロジェクト管理を使ったり、経理関係の人たちが会計アプリを使ったりと使い分けることができます。そして個々に作り込まれたWebアプリケーションはグループウェアに比べると特化している分優秀であり、使い勝手が良いはずです。個々に機能が選べるグループウェアとして捉えると、よく使われているものや逆に使い勝手が悪いために使われていないものをリプレイスしてGoogle Apps Marketplace上で提供するという選択は十分に考えられます。

国境の壁が厚くないものを提供する

国境の壁が最も厚いのは会計システムと言えそうです。また、現地に則した仕組み(労基など)を知らないと問題が発生するものは提供しづらいかも知れません。プロジェクト管理やバグトラッキングシステムのようなサービスは世界共通であるために提供しやすくなります。その他ナレッジ共有システム、社内向けマイクロブログシステムなど法律や現地の仕組みにとらわれないサービスがベストではないでしょうか。

カテゴリから考える

現在のGoogle Apps Marketplaceで提供されているカテゴリは以下の通りです。

  • Accounting & Finance(会計)
  • Admin Tools(管理者向け)
  • Calendar & Scheduling(カレンダー)
  • Customer Management(CRM)
  • Document Management(ドキュメント管理)
  • Productivity(生産性向上)
  • Project Management(プロジェクト管理)
  • Sales & Marketing(営業&マーケティング)
  • Security & Compliance(セキュリティ&法律系)
  • Workflow(ワークフロー)

特に厳密にカテゴリに従う必要はないとは思いますが、利用者の視点としてはこのカテゴリに分類されるものが目に付く、または期待されるかと思います。

まとめ

Google Apps Marketplaceは世界に向けたサービスをビジネス向けに提供する上で無視できない、または徹底的に活用すべきプラットフォームではないかと考えられます。自社でWebアプリケーションを既に提供している場合、販路の拡大先として良い選択肢になるのではないかと考えられます。日本でのGoogle Apps導入例も増えていますが、まだまだシェアはごくわずかです。日本企業に期待するのではなく、世界中に存在する数多の企業に対してサービスを提供するためにも、是非チェックしてみてください。

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